2007-05-05

2007年5月5日 日常
珍しい体験をして
それを書こうと思ったけど
あえて比喩で書く

例えばこうだ
元軍人はテレビ番組を眺めている
アフリカ中央部の内紛のドキュメンタリーだ
つまり実際にあったまじりっけなしの本物の話
アフリカ人の父親が息子の目の前でこめかみを打ち抜かれて死ぬ
息子は泣きじゃくり死んだ父親の肩を揺する
銃は幼い息子に向けられ父親と同じように死ぬ
その番組を眺めていた元兵士は痛みを感じる
アフリカ人の親子が感じた痛みを同じように感じる
痛みや苦しみやそして怒り

元兵士には息子がいた
その息子は幼い頃に病気で死んでしまっていた
ちょうど後頭部に黒い染みをつけたテレビの向こうの少年と同じように

その兵士はテレビの向こうの殺人をおかした兵士を憎む
まじりっけなしの憎悪だ
彼は男を殺したいと思う
そして老いた元兵士は思い出す
40年前の出来事だ
彼はベトナムに居た
そして銃を持っていた
それは命令ではなかった
その男は笑っていた
男は銃を向けていた

「私には不思議でした。その兵士を殺したかった。同時に私はその兵士だった。自分に対する罪の意識は浮かびませんでした。私の良心は痛みませんでした。兵士に対する憎しみに間違いはありませんでした。しかし、私は自分自身を全く責めることはありませんでした。あなたは信じられないでしょうか?私にも信じられません。そういうものです。」

これは本当にあった話ではない
同時に本当にありえる話だ
あなたはアフリカ人の親子だ
そして幼くしてして死んだ自分の息子であり
同時にあなたは兵士であり元兵士でありそしてベトナム人の子供だ
それをあなたは認めないだろう
だけど約束できる
あなたは彼らだ
そして僕は彼らだ

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