すごいことがあったんだけど、もう驚くこともないくらい。

たとえば、君が真剣に好きになった相手が毎晩違う相手と寝てた、としても、それは、この凶暴で奇妙に捩れた世界では、驚くことじゃない、ってこと。よくある話。
たとえば、生まれて初めて行った(たぶん次は無い)風俗の風俗嬢が、となりの席でアパレル(姉キャンがなんとか、って言ってた。)の社員として、アルバイトの女の子達とミーティングをしていても、もう僕は驚かない。
どちらかといえば、驚いたのは、初めて行ったおっぱいパブで、全く興奮しなかった自分に対してだ。乳首が肌に引っ付いた突起にしか思えなかった。

それで、今日、サガンの「絹の瞳」を読みながら、彼女が一生懸命になって商品説明をしているのを、横目で見ながら(彼女は僕に気付いているようだった)、表現が難しいけれど、優しい気持ちで見守っているような感覚があった。複雑に倒錯した錯覚かもしれないけれど。

誠実さ、なんて、不誠実で信じられない。
でも、そんなことは大事なことだとは、もう僕は思っていない。

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