『シェリ』

2008年9月17日 読書
『シェリ』
『シェリの最後』
読了。

 「大好きなヌヌーン!やっと会えた!ぼくのヌヌーン!ああ、ぼくのヌヌーン、あんたの肩、それにまえとおんなじあんたの香水、あんたのネックレス、ぼくのヌヌーン、ああ、こいつはすげえや・・・・・・・髪の毛の焦げたような匂いもさ、ああ!こいつは・・・・・・こいつはすげえや」
 彼は頭をのけぞらせたまま、この馬鹿げたしめくくりの言葉を、まるで胸にのこった最後の吐息を吐きだすかのように口にした。ひざまずいて腕にレアを抱きしめた彼は、髪が影を落とした額を、涙に濡れた震える唇を、歓喜が光る涙となって流れおちる目をレアにさしだしていた。彼女は吸いこまれるように彼を見つめながら、彼という人間以外のことはまったく忘れ去ってしまい、接吻をあたえようという気持ちさえ失っていた。そして両腕をシェリの首筋にまわし、ささやくような言葉のリズムに合わせてそっと抱擁をくり返すのだった。

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