書くことについて(仮) 51/100
2009年3月2日 コミューンと記録メモと書くことユキがflapperにログインして、昨日の続きを書き始めた。例えば、「私がインターネット知り合った女の子の話で、」改行「去年の暮れ頃にチャットを徘徊していると、」改行「30代OLのカテゴリーで知り合ったひとで、彼女は大学二年の美大生で、恋愛の話をしていて、彼女が生まれて初めてナンパされたのは18才のときで、ツナギを着た彼女は引退する部活の先輩を見送るためにスイカを抱えて八王子の駅のホームで電車を待っていたんだけど、挙動不審の男の子が近づいてきて「千葉に行くにはどうすればいいですか?」って訊いてきたらしんだけど、とにかく、彼女は乗り換え方とか、どの電車に乗ればいいのかをその男の子に教えてあげたんだって。彼が乗る電車がやってきて、しばらく電車が駅で止まっている間に、彼女に「連絡先を教えてください」って言ってきて同い年のその男の子と連絡先を交換したんだけど、ともかくそれが二人の出会いで、それからなんやかんやあって、初めてセックスした相手がその男の子で、ささやかながらも、仲良く大学一年の最後の頃までは付き合っていたの。でも、その恋は結局、どんな恋とも同じように壊れてしまうんだけど、それが壮絶。その男の子と同じ大学のビッチな女の子が、その男の子のことを大して好きでもないのに、「◎◎くんは優しくてなんちゃら」みたいなメールをして、可愛い女の子に相手のされたことのない彼は彼女を振って、その女の子にひょいひょい着いていっちゃったわけ。可哀想な美大生の女の子。とにかく負けず嫌いの彼女は少しぽっちゃりしていてメガネをかけていて、明らかに冴えない自分の見た目の改造をするわけ。で、もちろん、彼女は華麗な変身を遂げて、それはもう綺麗な女の子になったんだけど(というような内容の話だったから、実際にどれだけ可愛いのか分からないけど、とにかく後で聞いた僅かな期間での数々のリアルな恋愛遍歴を聞くと真実味がある。)、男の子は、そのときには、そのビッチに捨てられて、落ち込んでたところだったから、すっかり変わってしまった彼女が目の前に現れると複雑な気持ちになったんだけど、そこで変身して、今やミス多摩美術大学となった彼女が何をしたかっていうと、復讐。でも、それほど彼のことを好きだった。その男の子の大学の文化祭に偶然現れたふりをして、全然昔のことなんて気にしてないなんてフリをして再開を果たして旧交(というより新しい関係かもしれない)を暖めて、とにかく、その晩二人は夜の学校で手を繋いでキスをして彼女の家にタクシーで向かうんだけど、途中で彼女は急に思い出したように「私の部屋、凄く汚いから、掃除するから、そこのコンビニで30分待ってて。30分経ったら、うちに来て。」って彼をまず、いったん置いていく(彼が持っている文化祭の出し物に使った荷物が入ったカバン(その鞄には彼の携帯電話や財布や全てのものが入っていた。彼女は元カレが荷物は全てバッグにしまうことを覚えていた。))と、次に彼女は電話をした。電話先は元カレと同じ大学の男で、彼が自分の部屋で待っていることを確認した。(今日のために彼氏にしていた。そして、彼女に十分に惚れ込んでいることも彼女には分かっていた。)で、その先輩を自分の家に向かわせて、彼女も自分の家に帰る。先輩が家で出迎えてくれるんだけど、その瞬間、ちゃんと家のドアを半開きにして置いた。(余談だけど彼女は家のチャイムが鳴らないように呼び鈴の線を切っていた。徹底的にやるタイプなのだ。)30分後、元カレはアパートに向かう。その子の家には何度も行ったことがあるからアパートの場所も部屋番号も覚えている。先輩と二人キリになった彼女は酔っぱらったフリをして(大学で何杯か酒を飲んでたから実際は酔ってはいたんだけど、緊張感のほうがずっと強かった。)洋服を脱ぐ。で、その脱ぐのと同時にアパートのそばの一本道から元カレの姿を100m先に確認して、それからカーテンを閉めるフリをする。彼女の仕事は手早くて、元カレがアパートに着く前には先輩は何も身に付けていなかったし、アパートの階段を上り始めたときには彼女は先輩の上に登っていた。明かりの着いた部屋のなかで、彼女は携帯電話をベッドの横にある携帯電話で、自分とその男がセックスしている姿を写真に撮る。(見慣れない携帯電話のことを問われると、新しく買ったものだからと言い訳をした。)それから、元カレは何度も呼び鈴を強く押すんだけど、もちろん反応はない。ドアは空いてる。可愛い(可愛くなり過ぎた)彼女が部屋で待っていて、戸口が半開きならもちろん開ける(何度も開けたドアだ)。そして元カレは立ち会うわけ。彼女が動物みたいに悲鳴をあげて、綺麗な身体を、髭面の知らない男に捩らせている。元カレは、彼女と目が合うと、部屋から逃げ出すみたいに混乱して出て行って、残ったのは二人の男女。先輩は凄く怒るし、それこそ修羅場のはずで、彼女は表面的にはしおらしく、先輩が酷く取り乱すのを前にしていたけれど、彼女は頭の中では笑っていた(きっといびつな笑い方だろうけれど)。そして、翌朝、元カレの携帯電話で、メールをする。メールの送信先は昨日セックスして別れた男のもう一人の恋人で、それは、彼女の元カレ(いまや元々カレだが)を振った例のビッチで、そのビッチの心底から好いていたのは、画像に写っているその男だ。なんで彼女がそんなことを知っているかといえば、彼女はそのために、わざわざ自分の彼氏を寝取った女と仲良くしていた。(彼女は自分を騙すことが他の女の子の100倍くらい巧かった。)文面には「やばいだろ、これ。昨日先輩に誘われて、学祭で知り合った女と3Pした!」と書いた。そのあと、すこし時間をあけて、さっきのメールが送り間違いだったという取り乱しながら詫びている内容のメールを送る。
ユキは、このチャットした女の子と意気投合することになって彼女と二人で会うことになった。
マリコは、インターネットで知り合ったひとに会うことが初めてだったし、そんなことをしていいのかどうかも分からなかった。(結局マネージャーには報告しなかった。)原宿の竹下通りの出口の隣のスターバックスに待ち合わせで、性別も見た目も知らない相手と待ち合わせをするというのは斬新だと思った。壁に向かって座っている形で、店内が見渡せる場所に座らなかったのは失敗だと思った。相手には自分の目印が、虹色の傘を持っていると伝えた。隣に座った小学生くらいの女の子は落ち着きなく、本を読んだり(本の題名は『ウォーターメソッドマン』と書かれていた)携帯電話をいじったり(携帯電話の待ち受けゴールデンレトリバーだった)、忙しなく目を動かしていた。待ち合わせまでにはあと10分くらいある。文字のやりとりだけで信頼できる相手。いままで、色々な男の子と(女の子とも)付き合ってきたけれど、出会い方はたいがい、お互いの顔も名前も知っているところから始まっていた。男の子だとしたらきっと、優しくて大らかな人だろうと思った。女の子だとしたら、自分には似ていないだろうと思った。カロリーメイツのメンバーとは、最近遊んでないけれど、彼らは気を許せるほうの友達で、お互いの利害が噛み合ったりしないからうまくいってきた。けれど、彼/彼女が女の子だとしたら、もしかしたら、自分と仲良くなれないんじゃないかと思った。言葉の端々に自信が満ちていた。自分が好かれる女の子だってことを確信しているような言い方を平気でするのだ。待ち合わせの時間ちょうどになった。隣の女の子は正面のガラスを凝視している。店内にはカップルが二組とその小さな女の子と私だけだった正面のガラスの向こうには靴と鞄の店があった。ふと、賢そうな顔をしたその小さな女の子が鏡に写った自分の顔を覗き込んでいることに気付いた。鏡越しに彼女が私に笑いかけた。人なつこい、裏表のない4月の霧がかかった朝にみたいに、どこか現実離れした目だった。私もにっこりと笑うと、彼女は「こんにちは」と言った。
僕はサイボーグ忍者が「マジテンションあがる↑」とか「カロリーメイツのチアヤに似ているでござる」とか「軽く濡れた」とか、画面上を流れていくのを眺めながら、なんとなく、雨の降る外を眺めていると、自分の年が勢いで気が狂って職場の女の子の名前を出して意味なくネット上で告白とかしたりしないから、やっぱり年をとったように感じた。今日は僕の誕生日だ。
ユキは、このチャットした女の子と意気投合することになって彼女と二人で会うことになった。
マリコは、インターネットで知り合ったひとに会うことが初めてだったし、そんなことをしていいのかどうかも分からなかった。(結局マネージャーには報告しなかった。)原宿の竹下通りの出口の隣のスターバックスに待ち合わせで、性別も見た目も知らない相手と待ち合わせをするというのは斬新だと思った。壁に向かって座っている形で、店内が見渡せる場所に座らなかったのは失敗だと思った。相手には自分の目印が、虹色の傘を持っていると伝えた。隣に座った小学生くらいの女の子は落ち着きなく、本を読んだり(本の題名は『ウォーターメソッドマン』と書かれていた)携帯電話をいじったり(携帯電話の待ち受けゴールデンレトリバーだった)、忙しなく目を動かしていた。待ち合わせまでにはあと10分くらいある。文字のやりとりだけで信頼できる相手。いままで、色々な男の子と(女の子とも)付き合ってきたけれど、出会い方はたいがい、お互いの顔も名前も知っているところから始まっていた。男の子だとしたらきっと、優しくて大らかな人だろうと思った。女の子だとしたら、自分には似ていないだろうと思った。カロリーメイツのメンバーとは、最近遊んでないけれど、彼らは気を許せるほうの友達で、お互いの利害が噛み合ったりしないからうまくいってきた。けれど、彼/彼女が女の子だとしたら、もしかしたら、自分と仲良くなれないんじゃないかと思った。言葉の端々に自信が満ちていた。自分が好かれる女の子だってことを確信しているような言い方を平気でするのだ。待ち合わせの時間ちょうどになった。隣の女の子は正面のガラスを凝視している。店内にはカップルが二組とその小さな女の子と私だけだった正面のガラスの向こうには靴と鞄の店があった。ふと、賢そうな顔をしたその小さな女の子が鏡に写った自分の顔を覗き込んでいることに気付いた。鏡越しに彼女が私に笑いかけた。人なつこい、裏表のない4月の霧がかかった朝にみたいに、どこか現実離れした目だった。私もにっこりと笑うと、彼女は「こんにちは」と言った。
僕はサイボーグ忍者が「マジテンションあがる↑」とか「カロリーメイツのチアヤに似ているでござる」とか「軽く濡れた」とか、画面上を流れていくのを眺めながら、なんとなく、雨の降る外を眺めていると、自分の年が勢いで気が狂って職場の女の子の名前を出して意味なくネット上で告白とかしたりしないから、やっぱり年をとったように感じた。今日は僕の誕生日だ。
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