Fine Romance 65/100
2009年4月24日 コミューンと記録メモと書くことダーツがある階とは違う階にはボーリング場とゲームセンターがあった。11:45。この時間だと彼女に終電がなくなったっていう、ありきたりな言い訳が通用しない。ずいぶん彼女も酔っぱらっていた(そう見えた。もしかしたらそう見えるだけで彼女はザルで、全然酔ってないかもしれないけれど、それは重要な問題じゃない。酔って見えることが大事なのだ。)し、ダーツにも飽きて、ゲームセンターに行ってエアホッケーをすることにした。筐体に100円いれて、もう100円入れて、ゲームを開始しようとすると、プリクラのコーナーから出てきたムラハシと、その彼女を見つけた。
二人のほうに行って「何してんの?」と訊いた。「動物園行った帰り。」とムラハシは行った。ムラハシの彼女が手を後ろにまわして小さな鞄をゆらして、何も言わずに僕に微笑んだ。溜め息が出そうだ。「何してるの?」とムラハシ。僕は指さして、エアホッケーとその近くでこっちを呆然と見ているマリコを示した。硬直したマリコの表情と態度で僕は既に致命的な間違いをしていることに僕は気付いて、急いで彼女の元に行って(放っておいたのがマズかったんだろうか)、「紹介するよ。」と彼女の手を引こうとすると、「なんで。」と戸惑いと苛立ちにまみれた声で言った。なんでだろう。そして、振り返ってムラハシを見ると、まるで車に轢かれる直前の四足の動物みたいだった。不吉な兆候を感じ取ってムラハシの彼女は不安そうな顔をしている。ムラハシのほうに「エアホッケーしようとしてたんだ。紹介するよ。」と二人を読んでこっちに来させた。フルカワのぎこちなさは僕が今までみた彼のぎこちなさのなかで最高の規模に達していた。マリコの表情は恐怖と不安。
私はもう彼に話すことなんて何もなかったし、もう会いたくないと思っていたのに、でも会うと昔みたいに触れたり抱きしめたりしたいのに、でも、いまは沢山のことに汚されていて素直にそうすることができなくて寂しい気持ちになった。いつも彼がやさしく私のことを見つめたりすることもないなら、いっそ彼のことも彼の気持ちもずっと目につかないようにずっと遠くに押しのけてしまいたい。あんなふうにほかの女の子と仲良くしているところなんて見たくなかった。っていうか、あの女だれ?
「知り合いなの?」と、僕は誰にでもなく訊いた。
「昔付き合ってたんだ。」ムラハシはあっさりと白状した。嘘が下手だっていうのは本人も分かっていたから、きっと隠し事をして彼女に疑いをかけられるくらいならって、安全な選択をしたんだと思う。
そして、ムラハシが女の子と付き合っていた経験が一人しかいないと言っていたことを思い出して、じゃあ例のひどい恋愛っていうのがこのことだったんだと思った。
「久しぶり。」とムラハシはマリコに言ったけれど、その声は震えている。どうすればいいのか見当がつかなかった。
もしムラハシが一人だったら「あ、ムラハシくん、久しぶり。元気?いま彼と付き合ってるの。え?友達?そうなんだー。へー。今から彼の家に行くの。」とか笑いながら言ってさっさと腕を組んで僕と一緒にいなくなったとんだろうけど、ムラハシが二人でいるところ、しかも好きな女の子といるところをみると、ムラハシのことを異常に欲しい気持ちになる。具体的に言えば、また寝取りたくなった。(そして、読者にも予想がつくように、気持ちが自分の元に戻ったら、できるだけ残酷にムラハシを傷つけて捨てる。いや、もしかしたら今度は捨てないで、離れることができないようにしながら傷つけ続けるかもしれない。マリコにはそうしたいと思う腐った心と、それを果たす特別な才能があった。)内心、マリコのことはなんとも思ってなかった(軽蔑しながらも僕がマリコを欲しいと思ったのは、マリコを欲しいと思う沢山の男達に対する優越感が得られるということ。そして何よりも、さっき書いたように誰かの目を通して映された彼女は美しかった。
二人のほうに行って「何してんの?」と訊いた。「動物園行った帰り。」とムラハシは行った。ムラハシの彼女が手を後ろにまわして小さな鞄をゆらして、何も言わずに僕に微笑んだ。溜め息が出そうだ。「何してるの?」とムラハシ。僕は指さして、エアホッケーとその近くでこっちを呆然と見ているマリコを示した。硬直したマリコの表情と態度で僕は既に致命的な間違いをしていることに僕は気付いて、急いで彼女の元に行って(放っておいたのがマズかったんだろうか)、「紹介するよ。」と彼女の手を引こうとすると、「なんで。」と戸惑いと苛立ちにまみれた声で言った。なんでだろう。そして、振り返ってムラハシを見ると、まるで車に轢かれる直前の四足の動物みたいだった。不吉な兆候を感じ取ってムラハシの彼女は不安そうな顔をしている。ムラハシのほうに「エアホッケーしようとしてたんだ。紹介するよ。」と二人を読んでこっちに来させた。フルカワのぎこちなさは僕が今までみた彼のぎこちなさのなかで最高の規模に達していた。マリコの表情は恐怖と不安。
私はもう彼に話すことなんて何もなかったし、もう会いたくないと思っていたのに、でも会うと昔みたいに触れたり抱きしめたりしたいのに、でも、いまは沢山のことに汚されていて素直にそうすることができなくて寂しい気持ちになった。いつも彼がやさしく私のことを見つめたりすることもないなら、いっそ彼のことも彼の気持ちもずっと目につかないようにずっと遠くに押しのけてしまいたい。あんなふうにほかの女の子と仲良くしているところなんて見たくなかった。っていうか、あの女だれ?
「知り合いなの?」と、僕は誰にでもなく訊いた。
「昔付き合ってたんだ。」ムラハシはあっさりと白状した。嘘が下手だっていうのは本人も分かっていたから、きっと隠し事をして彼女に疑いをかけられるくらいならって、安全な選択をしたんだと思う。
そして、ムラハシが女の子と付き合っていた経験が一人しかいないと言っていたことを思い出して、じゃあ例のひどい恋愛っていうのがこのことだったんだと思った。
「久しぶり。」とムラハシはマリコに言ったけれど、その声は震えている。どうすればいいのか見当がつかなかった。
もしムラハシが一人だったら「あ、ムラハシくん、久しぶり。元気?いま彼と付き合ってるの。え?友達?そうなんだー。へー。今から彼の家に行くの。」とか笑いながら言ってさっさと腕を組んで僕と一緒にいなくなったとんだろうけど、ムラハシが二人でいるところ、しかも好きな女の子といるところをみると、ムラハシのことを異常に欲しい気持ちになる。具体的に言えば、また寝取りたくなった。(そして、読者にも予想がつくように、気持ちが自分の元に戻ったら、できるだけ残酷にムラハシを傷つけて捨てる。いや、もしかしたら今度は捨てないで、離れることができないようにしながら傷つけ続けるかもしれない。マリコにはそうしたいと思う腐った心と、それを果たす特別な才能があった。)内心、マリコのことはなんとも思ってなかった(軽蔑しながらも僕がマリコを欲しいと思ったのは、マリコを欲しいと思う沢山の男達に対する優越感が得られるということ。そして何よりも、さっき書いたように誰かの目を通して映された彼女は美しかった。
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