Fine Romance 72/100
2009年6月21日 コミューンと記録メモと書くこと「最近気付いたんだけど、僕が女の子に求めているものは、どっちかっていうと損な役回りのものなんだ。」「おごらさられる?」「いや、おごらされるなら金だけで話がつくからいい。父親みたいな役回りだよ。理想を押し付けられる。女の子は、自分に彼氏がいても、僕が離れないと思っているし、わがままは聞き届けられると思ってる。無条件でただ与えられたいと思っている。女の子は僕に彼氏との関係がうまくいかないこととか、彼氏以外と遊んだりすることを話すし、それで僕が傷付いたりすることには無頓着だし、それで僕が不機嫌になったら不当なことだって思う。逆に僕が女の子に、彼女の話をしたり、誰か違う女の子に目がいったりすると急に不機嫌になるし、僕を罰そうとする。とにかく不公平だ。」「それで?」「きっと見守ってほしいんだ。いま付き合っている彼氏とは、いつか別れるけど、僕はいなくならないって思い込んでるんだ。」「でも実際、いなくなったりしないし、できない、と。」「そう思ってる。だからこそ、僕は女の子に必要とされてる。好きな人がいると身も心も与えたくなる。ずっと側にいたいと思ってる。きっとそれは間違いじゃないし、むしろど真ん中で正解なんだろうけど、でも、そういうのは彼らが必要としてる恋愛じゃない。」「結婚?」「そう、結婚相手にはうってつけなんだ。僕が不真面目に恋愛をしたり女の子と関係を持つように振る舞っても、女の子は直感的に僕がそうじゃないことを分かってる。浮ついた性格じゃないし、そうできない。」「ただ、俺に話すことを聞いてる限り、女と遊び回ってるように思えるけどな。」「そう見えるようにしてるんだ。既婚者の女性にモテる理由が自分で分かってる。たぶん、彼らは一線の距離を置いて付き合える相手を探してる。たぶん、自分の思い通りになるような従順な人間じゃないことも分かってる。」「矛盾しているようにも思えるな。」「真剣に付き合うことしかできないから、普通の未婚で彼氏がいないような女の子は僕には踏み込めない。重過ぎるから。逆に、既婚者で旦那とも落ち着いたような30前後の女性は、結婚はありえないって確信してるから、僕の浮ついた部分だけに対応することができる。もし失恋したとしても、戻る場所があるから、冒険もできる。いちど、羽毛みたいに軽い恋愛ができる男になりたいって思ったことがあるよ。」「それで?」「なれなかったよ。そういう風には出来てないんだ。馬は走るために頑丈な四足の足を持っていて、鳥は飛ぶために軽い身体と大きな羽を持っている。それから、」と言って、僕は4本目のビールに取りかかった。今日は饒舌な日で、こういう日には僕のお喋りを止めることは自分を含めて誰にもできない。伝えたいことが沢山ある。「それから、特殊な技能を持っていることに気付いた。僕のプロフィールの話。」「履歴書には載せられない。」「まぁ、半分は書けるかな。検定試験があるってわけじゃないけどさ。この前、女の子に街で声をかけてうまくいったよ。生まれてから二度目2/2の100%。前回とロケーションは同じく本屋で、今回は渋谷ツタヤ6F(因縁が渦巻き過ぎで笑える)で、向こうが僕のテリトリーに張った瞬間の最高のタイミング(つまり向こうから声かけてよっていう下心を出して近寄ってくる一瞬。今回こうやって声をかけるまでにこのタイミングを逃したせいで、いくつのチャンスを逃しただろうか。そして今回は手遅れでなく。)「小説よく読むの?」って訊いた。急だったから、痰が絡んだのと声が小さかったせいで彼女はいちど聞き返した。それでもういちど咳払いをして、「小説よく読むの?」ともういちど言った。それから彼女が手に取っていた、『朗読者』(ドイツでベストセラーになった年上の女性と恋をする学生の話で、その女性は物語の中盤から第二次大戦中の罪を問われて年上の女性が法廷で罪を裁かれる話になるんだけど、最後まで読んでいない。あまり面白くなかった。)を指差して、「その小説面白いよ。」と彼女に言った。で、小説のことを立ち話で、本棚に向かって、この本面白いよ、とか、どんなのを最近読んだの?とか、とにかく話をとぎらせないようにひたすら話をした。で、例のごとく、質問してから、会話がスムーズに進むわけでもなくて、ぶつぎりの質問を何度もしては、そこで話が終わって、を繰り返した。いちど、ある女の子にこの方法を伝授したことがある。共通の趣味とか、何かについて話す対象がある場所で、っていうのがそのひとつだったな。ともかく、彼女は、本屋で小説のコーナーを歩いて、そこで本を手に取る程度には小説を読んでいたし、特にジャンルが拘りもなかった。あえて言うなら、国内の小説ばかり読んでいた。で、小説の話をちょいちょいして、お茶しませんか?って彼女に言うと『ちょっとだけなら』って終電前に、階下のスターバックスに行って30分くらい小説、音楽、映画、仕事(彼女は新卒2年目の青山の商社勤務)の話をぎこちなくした。彼女は24才の都内の某有名女子大卒で、本を乱読していて、可愛いんだけど、意思の強さが表情の下に隠れていた。今日は大学の頃の先輩が開いたホームパーティーに行ったらしい。若干、僕は住む世界の違いを感じた。ホームパーティーって......。ともかく携帯のアドレスを交換して、帰り道、僕は彼女にメールを送ってデートの約束をした。これこそ僕にとっての恋愛のスタートの理想型だった。ドキドキ&新鮮、面倒な手続きなしで、一直線に結ばれる方向に進む、まだ過ちや、誤解で汚れていない男女関係。」「おんなに声をかけて関係を結ぶのが特殊能力だって?」「馬鹿らしいと思うだろうけど、ただ声をかけることができるっていうのが特殊なわけじゃない。普通、世の中で女の子に声をかけるやつらは300人くらいに声をかけてやっと一人を立ち止まらせるくらいだ。しかも、ただ立ち止まらせるくらいが限界で、僕の場合は、立ち止まらせるどころか、ベッドにまで連れて行くことができる。まぁ、二人目のその女の子とは今度デートをするまでしか話は進んでないけど。銃を撃つだけなら誰にでもできる。それから、訓練すれば何度か撃てば遠くの的に弾を当てることができる。ただ、誰からも射撃の手ほどきを受けていない素人が100メートル先のリンゴを打ち抜くことができれば、これは十分な特殊な能力だって言えるでしょ?」「まぁ、そうだな。」「面白いところは、この射撃の素人は、素晴らしい射撃の技術を持つにも関わらな図、2メートル先にあるリンゴに野球ボールを投げて当てることができない。100回投げても当たらない。簡単なことが出来ない代わり、普通の人にはできない、ごくごく一部の能力を独力で発達させた。これって何か意味があるのかな?」「意味なんて無いだろ。視覚が生まれつき無い人間は聴覚や嗅覚を発達させる。元々何かをかけているし、そのバランスを取るためにアンバランスになっているだけだ。物事は補完するように出来ている。原始の地球で海中や陸上の植物が酸素を放出させたとき、それは地表は赤く染めた。人間にとっては当然必要な酸素、地球上に最も多くある大気中の21%を占めるその原素は元々、自然にとっては猛毒だった。光合成を学んだ植物が吐き出していたのは、産業が排出する二酸化炭素のような迷惑な代物だった。崩壊させないで済ませるためにバランスを取った。いや、地球が自分の意思で、そうしたわけじゃない。太陽光がそこら中に降ってきたのを植物が利用したのと同じように、そこら中にあるにものを自分を生かすために進化したのもの同じ動物だった。それから酸素はそれを活用するものたちのために必要なものになった。」僕は内心、その例えはちょっと違うんじゃないかと思ったけど何も言わなかった。「そこらちゅうにある猛毒みたいな女の子は僕にとって必要なものにするために、僕は進化したってこと?」「適応しただけだ。生きるために。」「大袈裟だな。」「有性生殖をする俺たちには大事なことさ。」僕は4本目のビールを飲み干した。溜め息とともに僕は「ゆーせーせーしょく」と吐き出すように言った。「ナンパといえば、」「ナンパじゃないです!」「?」「ナンパっていうのは言葉が汚されてる。僕はナンパとは呼びたくない。」「街で見知らぬ女性に声をかけることが『ナンパ』って言わないならなんと言う?」「む。」「ナンパだろう。」「いや、ナンパじゃない。それはやっぱりイメージ的に違う。ナンパって言ったらセックス目的っていうか、誰でもいいっていうか。」「誰でもいいんだろ?」「いや、その女の子達には共通点がある。本質がある。彼女達は僕を求めている。」と、僕は宣言して、どちらかといえば唐突に「便所行ってくると行って立ち上がった。」僕はションベンをしながら、ぼんやりと、ほとんどの人間にとって、繁殖する以外で人がする以外のクリエイティブなことを考えていた。料理か?いや、これは本に書いてある通りにやれば誰でもできる。たとえば、最近はブログやSNSで自分の文章を公開することが多い。けど、これは書いても書かなくて構わないようなような話ばかりだからクリエイティブとは言えない。今日何食った。太った、痩せたい。仕事で失敗をして落ち込んだ。だからどうした?そんなの読んで何が面白いんだ。もっと、物事の面白い部分とか、人とは違った見方とか、なんてことを考えてもな。と思った。なんで自分の書いたことが退屈かどうかも判断できないのかが僕には理解できなかった。ションベンを出し切って、だって俺たち人間だし、そんなどうでもいいことばかりにまみれて退屈しながら死ぬなんてうんざりだろと思って、普段しないことをしたくなって、ポケットにいつも忍ばせている黒いマジックで、便器の見えない部分に僕の名前をサインした。これこそアート!と僕は興奮しながら部屋に戻った。
「僕はあれを『アート』と呼びたい。」「"アート"ね。」「アーーーーーーーート!!!」と僕はビニール袋から5本目のビールを取り出そうとしたところで「飲み過ぎだ」とフルカワから嗜められた。「俺はパンクだからそんなことは気にしない。」と言った。「次の題目はアートにおけるパンク性っていうのはどう?」「パンクか。」「『パンクは、音楽ジャンルじゃない。』じゃないってパンクロックの有名なミュージシャンが言ってた。」「酒を飲み過ぎて早死にするような生き方のことか。」「権威に反抗することさ。」「酒を飲み過ぎることと権威に反抗することに関係があるのか?」「少なくとも権威的な人間は自分を傷つけずにはいられない人間を理解できないさ。」「さっきの話を聞いてて思い出した。先週ナンパされたよ。」「アートじゃなくて?」「む。あれは、......アートだろうな。」「さようかー。どんなアートだった?」「女と飯を食いに行ってたんだ。」「奥さんじゃない女ね。」「ともかく飯を二人で食おうっていうことになって、寿司屋に行って座って注文を頼んでたら、小学生くらいの女の子が一人で店に入ってきたんだ。親もいないし、付き添いの大人もいない、寿司職人が「お嬢ちゃん、ひとりかい?」って訊くと、その子は「年齢制限があったかしら?」って上品ぶって応えた「いや。」と言って、空いていた席が俺の隣だけだったからそこに座った。寿司職人も含めてみんなびっくりしていて、彼女が慣れた様子で注文をしていくのがおかしかった。そんな光景を見たことあるか?」「無い。」と僕は応えながら、その光景を’僕は"’容易に想像できた。「野暮だと思ったけど、俺は心配になって『財布持ってるのか?』と訊いた。
「僕はあれを『アート』と呼びたい。」「"アート"ね。」「アーーーーーーーート!!!」と僕はビニール袋から5本目のビールを取り出そうとしたところで「飲み過ぎだ」とフルカワから嗜められた。「俺はパンクだからそんなことは気にしない。」と言った。「次の題目はアートにおけるパンク性っていうのはどう?」「パンクか。」「『パンクは、音楽ジャンルじゃない。』じゃないってパンクロックの有名なミュージシャンが言ってた。」「酒を飲み過ぎて早死にするような生き方のことか。」「権威に反抗することさ。」「酒を飲み過ぎることと権威に反抗することに関係があるのか?」「少なくとも権威的な人間は自分を傷つけずにはいられない人間を理解できないさ。」「さっきの話を聞いてて思い出した。先週ナンパされたよ。」「アートじゃなくて?」「む。あれは、......アートだろうな。」「さようかー。どんなアートだった?」「女と飯を食いに行ってたんだ。」「奥さんじゃない女ね。」「ともかく飯を二人で食おうっていうことになって、寿司屋に行って座って注文を頼んでたら、小学生くらいの女の子が一人で店に入ってきたんだ。親もいないし、付き添いの大人もいない、寿司職人が「お嬢ちゃん、ひとりかい?」って訊くと、その子は「年齢制限があったかしら?」って上品ぶって応えた「いや。」と言って、空いていた席が俺の隣だけだったからそこに座った。寿司職人も含めてみんなびっくりしていて、彼女が慣れた様子で注文をしていくのがおかしかった。そんな光景を見たことあるか?」「無い。」と僕は応えながら、その光景を’僕は"’容易に想像できた。「野暮だと思ったけど、俺は心配になって『財布持ってるのか?』と訊いた。
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