True Religion 15
2010年2月16日 コミューンと記録メモと書くこと「狼は羊の群れのなかで生まれて、羊に育てられた。周りは羊だらけだったけれど、どの羊も『お前は狼だ』なんてことを言わなかった。そのせいで狼はずっと自分も羊だって思っていた。まるで、みにくいアヒルの子みたいな話だけど、その話の違う点は、羊達も最初は、それが黒い毛並みの羊程度にしか思わなかったし、大きくなってからも、その狼をいじめたりはしなかった。いつもそばにいる一緒に育った小さな身体の羊が、狼を守ってくれたからだ。牧草ばかり食べて、彼らと過ごしていた。けれど、その狼はほかの羊達を眺めるたびに、強烈な衝動を感じた。形容のできない欲求を抱えていた。それを羊達に話すたびに彼らは『そんなことは君くらいの年の羊にはよくあることだ』って言って誤魔化した。
ある日、狼は、移動する羊の群れから、森で迷ってしまう。森は暗く、夜になると、満月の夜には、頭のどこかに埋め込まれた何かが狼を呼び続ける。羊達が眠る満月の夜には、泣き叫びたくなった。いつもそうだった。そして、彼は狼は自分と同じ叫び声を聴く。そして鳴き声のほうに近寄るにつれて、血の匂いがした。その匂いを嗅ぐ度に、狼はいつも仲間の羊たちが何か違うものに見えた。
草木をかきわけて、森を深くへと進むごとに、その音は強くなり、血の匂いは濃くなった。
そこで狼は、羊を見つける。その羊の身体は四方に裂け、一面は水たまりのように、真っ赤な色のペンキの入ったバケツをこぼしたようになっていた。腸はただれ、それなのに羊はまだ逆流する風呂の栓のようなごぽごぽと成る息の音は聞こえた。そして、その腹ワタに鼻を突っ込む黒い3匹の羊。彼らは、その黒い羊に気づかないほど、肉を引き千切るように飲み干すのに没頭していた。
まず、全身が沸騰するような抑えきれない怒りと、そして恐怖に似た何かを黒い羊は感じた。仲間が食われている。自分によく似た黒い羊達から、その白い羊を助けなくてはいけない。それらの感情を朝霧のように覆う、止めようのない飢えを感じた。いくら草を平らげても、癒えることのなかったその苦しみに似た何か。
黒い羊は、もう自分が何者なのかも分からなくなっていた。」
ある日、狼は、移動する羊の群れから、森で迷ってしまう。森は暗く、夜になると、満月の夜には、頭のどこかに埋め込まれた何かが狼を呼び続ける。羊達が眠る満月の夜には、泣き叫びたくなった。いつもそうだった。そして、彼は狼は自分と同じ叫び声を聴く。そして鳴き声のほうに近寄るにつれて、血の匂いがした。その匂いを嗅ぐ度に、狼はいつも仲間の羊たちが何か違うものに見えた。
草木をかきわけて、森を深くへと進むごとに、その音は強くなり、血の匂いは濃くなった。
そこで狼は、羊を見つける。その羊の身体は四方に裂け、一面は水たまりのように、真っ赤な色のペンキの入ったバケツをこぼしたようになっていた。腸はただれ、それなのに羊はまだ逆流する風呂の栓のようなごぽごぽと成る息の音は聞こえた。そして、その腹ワタに鼻を突っ込む黒い3匹の羊。彼らは、その黒い羊に気づかないほど、肉を引き千切るように飲み干すのに没頭していた。
まず、全身が沸騰するような抑えきれない怒りと、そして恐怖に似た何かを黒い羊は感じた。仲間が食われている。自分によく似た黒い羊達から、その白い羊を助けなくてはいけない。それらの感情を朝霧のように覆う、止めようのない飢えを感じた。いくら草を平らげても、癒えることのなかったその苦しみに似た何か。
黒い羊は、もう自分が何者なのかも分からなくなっていた。」
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