どういうふうに女の子と接していくか、の話になったとき、まずAとBとCと僕、というのを獣医のカッコいいシマシマっぽいケースに保護されたiPhone(A)と、Sサイズのファンタ(B)と、アップルパイ(C)と、僕のボロボロになった財布(僕)として例えて、説明を始めた。
財布をiPhoneのほうに寄せて「まずAを好き好き言う。そうすると、びっくりしてAは逃げて行く。で、僕は離れる。」財布をiPhoneから離す。「次にBに好き好きいう」同じように財布をファンタにぶつける。ファンタがその内部で泡を発生させている。「そうすると、やっぱりBは逃げるよね。」それで財布をファンタから離す。「あと、ちゃんと、好き好き言って断られた時は傷ついたようなフリをする。軽い気持ちで口説いたわけじゃないんだ、っていうアピール。」僕は嘘をつく。傷ついているのはフリではない。ひとは自分自身にすら嘘をつくことができる。真意というものは、その本人のものですらないのだ。予想通り僕は「で、Cにアプローチする。」と言って、財布をアップルパイに近づける。「好き好き」と言って、「それでどうなるのかっていうと、Aは僕のことを良いな良いな、って思うようになるってわけ。時間差で。時間が気持ちを育てるといいますか。で、Aに再度アプローチ。捕獲。」折財布を開いて、iPhoneを挟む。「で、次にBを捕獲。」ファンタを挟む。「で、Cも捕獲。」財布がパンのアップルパイのハンバーガーみたいだ。
「Aだけでいいじゃん」と獣医は言ったけど、僕は不機嫌に「だって、AもBもCも、他に男いるし!」と宣言する。獣医は何か言いたげな顔をする。僕は、こんなことを好きでしてるんじゃない、というような顔をする。別に、相手にほかに男がいなくて、最初に好き好き言ったタイミングで反応してくれれば何も不満はない。

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