カフェに入ると偶然、さっきのカメラを撮っていた外国人がいてユキと話をしている。外国人とガイド兼通訳の男とユキ。外国人の女はとてもユキを気に入っていた。放っておいたら本国まで連れて帰りそうだ。
その隣で彼らに断りを入れて僕は仕事をしていた。「青山に彼女のサロンがあります。」と男はユキに通訳していた。僕は期限を守るために無心に小説を書き続ける。こんな内容だ。
*************
ヤリマンの韓国人の美女とヤラずに帰ってきた。
13才の頃に暴走族でDucati乗り回してたとか父親が韓国の政治のナンバー3とか4ヶ国語喋れる(韓国語・中国語・英語・日本語)とかホストの彼氏と出来た子を流産が2回でうつ病になったとか彼氏に浮気されてたとかIQが170くらいあった(日本に来て一ヶ月で新聞読める)とかマフィアとか芸能人とか政治家とデートして一晩15万円とか殺人現場に立会ったことがあるとかコカインと覚せい剤(足の親指人差し指の間と耳の後ろに針の痕残ってた)とか韓国にセフレが100人以上いるとかバイで女の子と寝たとかリストカット(左手は手術で痕を消してて右手に最近の痣が残ってた)とかハードロックバンドのボーカルやってた(目と唇のピアスの痕残ってた)とかボクシングと剣道やってたとか血を飲むのが好き(「AB型が淡白な味で好き」)とかクリスチャンだとか権力と金が欲しい(「でも政治は汚いからやらない」)とか起業して困ってる人達を助けたいとか霊が見えるとか心臓病で酒飲み過ぎると死ぬとかビール7杯くらい平気で飲んでたとかマフィアの構成員だったとか「こんど韓国料理作ってあげるね」とか暗殺してみないかって誘われたとか刺青入れたい(北京の大学で学んだデザインの知識を活かした十字架とバイブルの一句)とか一時期多重人格だったけど病院行かずに気合いで治した(「私とジェシカとソフィア」)とか整形したい(今でも十分可愛い。友近を10倍くらいレベルあげた感じ。)とか、面白い話の宝庫だったんだけど、向こうが生理だったみたいでその子の大井町の一人暮らしの家で布団別で(ベッドは彼女の甘い匂いがした)セックスなしで帰ってきた。
現実離れし過ぎてて話盛りすぎてるか虚言癖かって思いながら話を聞きながら考えてたけど、暴力衝動(自身に向けるものであれ他人に向けるものであれ)は本物だと思った。
いま携帯で撮った彼女の顔を眺めている。かわいい。

その夜、彼女が僕に死後の世界の話(死ぬと素晴らしい世界があると彼女は言った)をしたとき、僕は彼女にいま書いている小説のあらすじを多少脚色して話した。
「これは個人的な意見なんだけど。」と彼女と宗教のことや死生観の違いで争いたくなかったので(そんなのナンセンスだ)何度か念を押した。
「死後の世界はないと思ってる。死んだら何もない。」彼女が死ぬのは怖くないと言ったり、死んでもいいと思っていると言っていたから、僕がそれを回避させるためにそう言った気もする。「だからもっと自分を大切にしたいし、良いものに沢山触れたいと思ってる。思い残したくないんだ。」
「いま小説を書いていて、その世界にある宗教のことなんだけど。その宗教はどれだけの数の人間の命を救ったかを数値化して徳を図る宗教なんだ。神さまもいないし、教義があるとしたら、点数化されているところくらいか。それで罪はマイナスの点数になって、浮気とか万引きとか小さな罪をマイナスの点として評価したりする。でも、寄付をしてアフリカの子どもの命を救ったりすると、それで帳消しにできる。人の命は誰かを殴ったり横領したりするマイナスの点よりずっと大きな得点になる。その小説の主人公もその宗教の信者でネットゲームの会社を興す。韓国だとラグナロクオンラインとかあったかな。その世界、仮想の世界では、ゲームキャラクターが殺し合いをするんだけど、その世界から生まれる利益は全部寄付に回って現実の人間の現実の命を救う。」
彼女は身を乗り出して、嬉しそうな優しそうな目で僕を見つめる。彼女は優しい人間だと思う。それは宗教の影響だろうか、彼女が感じる現実の痛みが彼女に与えた長所だろうか。
*************
そこまで書いたところで、ユキが「ねぇ、いまから、今日このひとの家でパーティーがあるんだって。一緒に行こう?いいでしょ?」少し考えて僕は「いいよ。」と答えた。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索