True Religion 38
2010年5月31日 コミューンと記録メモと書くこと会場についた僕はまたノートパソコンを開いて続きを書く。
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ヤリマンの女の子はあんまりヤリマンじゃなかった。傷つきやすい傷ついたことのある繊細などこにでもいる女の子だった。特定の恋人以外に寝る相手のいる女の子がヤリマンだっていうなら、程度の問題は別としても、世の中の少なくない女の子がヤリマンだし、実際に女の子に向かって「お前ヤリマンだな」って言ったこともあるけど(僕は彼女のことが好きだった)、非難するなら諸々のそういう女の子達全員を非難しなきゃいけない気もするし、最近、だいたいいつも女の子を軽蔑してる。ともかく、彼女は割と僕のことを気に入ってるみたいだし、彼女の不安を解消するみたいに、関係を深めようと(それを彼女は怖がっているようにも見える。それなのに彼女は人をきちんと好きになるようにできている。自分を軽く見せようとしてる真面目な女の子だと思う。)思ってる。けれど、彼女が僕のことを好きだとしても、他の男と寝てるのは間違いなくて、でも、そのうち彼女が僕に身体を許してくれるときに、何か特別な愛情を示してくれるなら、そういうことだって許せる気がする。
自分は悪くないみたいに、右手で簡単に人を裏切って、左手で自分を被害者みたいに見せる。いつも誰だってそうだ。ジレンマ。ほかに男がいる女の子が僕を求めるとき、その女の子は僕に他の女の子と繋がることを許さない。僕が女の子に求めるのは(そして女の子に許してほしいのは)、自分の気持ちに忠実だっていう誠実さで、それを認めれば、最後には相手に伝えることの許されない傷とわだかまりと苛立ちが残る。嘘と無神経さと優しさと欲望がミキサーで混ざったドロドロのそれを、嘘を見抜いたまま、騙されたままでいることを自分に言い聞かせることのできない僕は、そのどこにでもある混ざり合った奇形のクソを崩壊させてしまう。少し後ろに下がって眺めてしまえば、こんなの汚い嘘(不思議と僕は見透かすことができる。そんなことできるようにはなりたくなかったのに。)だらけだってことに気付いて、いつも馬鹿らしくなってシラけた気持ちになる。なんでみんなこんな馬鹿げた劇に本気になれるんだろうって。みんな自分や他人の嘘や裏切りや矛盾に気付かないほど馬鹿なのか、実は気付かないで済むような訓練があって、僕だけそれを受けてないだけなんだろうかって。
本当は、誰かひとりがいて、そのひとだけが僕だけを好きで、僕だけがそのひとだけを好きで、それだけで本当は十分なのに、いつもうまくいかない。本当はそうだったらいいのにっていつも思ってる。
きっと彼女は、いつものように、いままで出会った沢山の女の子達と同様、自分を棚にあげて、僕が浮気したとか傷つけられたとかいって、自分だけが傷ついたって思い込んだまま、いつか僕を捨てて、それからまた同じことを繰り返すのかもしれない。
それは彼女だけのことじゃない。僕だってそうだし、君も同じだ。うまくいけば僕はもっと醒めた人間になることができて、作業のようにバレない嘘をついて、それから器用に自分を騙すことができるようになるかもしれない。耐えられそうにない痛みに無感覚になって、失望することを諦めることができたら、そうやって軽蔑をしないで済むかもしれない。
「別にセックスできれば何でもいいや。」っていつも僕は笑いながら言う。女の子達はそれを聞いて僕を軽い人間だって思い込んで誰も気付かない。そう、僕は彼女と同じだ。だから彼女の苦しさが分かる。まともな神経だったら1秒だって耐えられない悲しみを、誰にも分からない無気力と投げやりな態度で必死に表現している。海の真ん中で溺れかけた人々のように、誰にも伝わることがないって分かりきってるのに、それでも「誰か助けて」って叫んでいる。
OK
大丈夫だ。僕は直感的に分かる。彼女が他の男とセックスしていることに気づいていて、彼女が僕のことを好きなことにも気づいているし、彼女がいつも泣いていることにも気づいている。
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ヤリマンの女の子はあんまりヤリマンじゃなかった。傷つきやすい傷ついたことのある繊細などこにでもいる女の子だった。特定の恋人以外に寝る相手のいる女の子がヤリマンだっていうなら、程度の問題は別としても、世の中の少なくない女の子がヤリマンだし、実際に女の子に向かって「お前ヤリマンだな」って言ったこともあるけど(僕は彼女のことが好きだった)、非難するなら諸々のそういう女の子達全員を非難しなきゃいけない気もするし、最近、だいたいいつも女の子を軽蔑してる。ともかく、彼女は割と僕のことを気に入ってるみたいだし、彼女の不安を解消するみたいに、関係を深めようと(それを彼女は怖がっているようにも見える。それなのに彼女は人をきちんと好きになるようにできている。自分を軽く見せようとしてる真面目な女の子だと思う。)思ってる。けれど、彼女が僕のことを好きだとしても、他の男と寝てるのは間違いなくて、でも、そのうち彼女が僕に身体を許してくれるときに、何か特別な愛情を示してくれるなら、そういうことだって許せる気がする。
自分は悪くないみたいに、右手で簡単に人を裏切って、左手で自分を被害者みたいに見せる。いつも誰だってそうだ。ジレンマ。ほかに男がいる女の子が僕を求めるとき、その女の子は僕に他の女の子と繋がることを許さない。僕が女の子に求めるのは(そして女の子に許してほしいのは)、自分の気持ちに忠実だっていう誠実さで、それを認めれば、最後には相手に伝えることの許されない傷とわだかまりと苛立ちが残る。嘘と無神経さと優しさと欲望がミキサーで混ざったドロドロのそれを、嘘を見抜いたまま、騙されたままでいることを自分に言い聞かせることのできない僕は、そのどこにでもある混ざり合った奇形のクソを崩壊させてしまう。少し後ろに下がって眺めてしまえば、こんなの汚い嘘(不思議と僕は見透かすことができる。そんなことできるようにはなりたくなかったのに。)だらけだってことに気付いて、いつも馬鹿らしくなってシラけた気持ちになる。なんでみんなこんな馬鹿げた劇に本気になれるんだろうって。みんな自分や他人の嘘や裏切りや矛盾に気付かないほど馬鹿なのか、実は気付かないで済むような訓練があって、僕だけそれを受けてないだけなんだろうかって。
本当は、誰かひとりがいて、そのひとだけが僕だけを好きで、僕だけがそのひとだけを好きで、それだけで本当は十分なのに、いつもうまくいかない。本当はそうだったらいいのにっていつも思ってる。
きっと彼女は、いつものように、いままで出会った沢山の女の子達と同様、自分を棚にあげて、僕が浮気したとか傷つけられたとかいって、自分だけが傷ついたって思い込んだまま、いつか僕を捨てて、それからまた同じことを繰り返すのかもしれない。
それは彼女だけのことじゃない。僕だってそうだし、君も同じだ。うまくいけば僕はもっと醒めた人間になることができて、作業のようにバレない嘘をついて、それから器用に自分を騙すことができるようになるかもしれない。耐えられそうにない痛みに無感覚になって、失望することを諦めることができたら、そうやって軽蔑をしないで済むかもしれない。
「別にセックスできれば何でもいいや。」っていつも僕は笑いながら言う。女の子達はそれを聞いて僕を軽い人間だって思い込んで誰も気付かない。そう、僕は彼女と同じだ。だから彼女の苦しさが分かる。まともな神経だったら1秒だって耐えられない悲しみを、誰にも分からない無気力と投げやりな態度で必死に表現している。海の真ん中で溺れかけた人々のように、誰にも伝わることがないって分かりきってるのに、それでも「誰か助けて」って叫んでいる。
OK
大丈夫だ。僕は直感的に分かる。彼女が他の男とセックスしていることに気づいていて、彼女が僕のことを好きなことにも気づいているし、彼女がいつも泣いていることにも気づいている。
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