戦争サービス業

2010年8月21日 読書
骨太で満足&満足な内容だった
民間軍事会社について総合的かつ、かなり綿密に調査して書かれた本。

民間軍事会社
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E9%96%93%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E4%BC%9A%E7%A4%BE
ざっくりいえばPMCと呼ばれる現代の傭兵のこと

まず目を引いたのが、民間企業、たとえばコカ・コーラやネスレといった超メジャーな会社が第三世界で低賃金の労働者のための労働組合の幹部をPMCを使って殺している実情。

米軍がPMCなしですでに成り立たないようになっていて補給(米英の補給に関してはKBR社の独占で軍に対して水増し請求がざらにあるうえに軍にはチェック機構がないに等しい。このKBR社の親会社はハリバートン社で、ディック・チェイニー元副大統領はハリバートン社の社長だった。)から兵器の活用まで、しかもそのPMCを取り締まる法律はなくて(国際法の適用範囲外)、それらのPMCの"従業員"はピノチェト政権下で拷問なんかをしてた元軍人。しかもPMCには軍規はないうえに、法律からも逃れる。法律自体がないからだ。
しかも、信じられないだろうけどアメリカは諜報活動すら民間に委託している。

アフリカの内戦が終わらない実情が先進国の利権争いで、その軍事政権を訓練するのがPMCで、その訓練に併せて、兵器を売り渡すのが訓練したPMCの親会社のアメリカ資本のノースロップグラマンやロッキードマーチン。実例として、ボリビアの紛争で、独裁政権と石油やコカインの物と武器を交換で、その物を密輸して世界中で売りまくったイスラエルの実業家がいたりする。ちなみにもう一方に武器を売ったのはティム・スパイサー(http://d.hatena.ne.jp/Gomadintime/20051202/p1)のサンドライン社。

ちなみに米軍にPMCの導入の提案し政策の草案をつくったり、業界で結託してロビー活動を行ったのは、当のPMCだった。

ここまで中身のある本は『競争の戦略』以来で、素晴らしい内容。
『戦争広告代理店』とあわせて読むと、世の中の成り立ちの理解が一気に進むっぽい。
(『戦争広告代理店』の舞台だったコソボ紛争でもPMCは活動していた)

同著者の『子ども兵の戦争』と『ロボット兵士の戦争』も読みたい。

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