面白い
今年読んだ小説は5冊もないけどこれはマジで冴えてる

追記
この小説自体が構造的に入れ子になってるんだけど、僕が気付いたのは、小説や本っていうものは、そこに書いてある内容がもう既に決まっていて、それが変わることはない。それに対する物事が矛盾しているようだけど、この小説という媒体で実現している。
現実的な世界の現実的な決定論みたいな楔に対する攻撃をしているのは『ファイト・クラブ』と同じなんだけど、この小説は規定や規則の絶望から先にあることを書いてあって、こういうのを書きたいって俺も思った。思いやりだなんていう言葉以上の、生半可じゃない同情と優しさがあって、それはパラニューク本人の持っている資質なんだろうと思う。

とはいえ、『使える祈祷集』の部分とかゲラゲラ笑いながら読んだ。

気に入った文章はいくらでもあるけど、すぐに出てくるのは以下の言葉。
「あたしたちはみんな同じテレビ番組を見て育った。同じ人口記憶を植え付けられたようなものよ。自分の子ども時代のことはほとんど何も覚えてないくせに、ホームドラマの主人公一家に起きた事件は全部ちゃんと覚えてる。人生の基本目標はみんな同じ。恐れているものもみんな同じ」
唇は言う。「未来は明るくはないわ」
「もうじき、全人類が同じ瞬間に同じことを考えるようになるでしょうね。一糸乱れぬユニゾン。シンクロナイズ。斉一。画一。千篇一律。蟻と変わらない。昆虫の群れ。羊の群れ」
すべては模倣だ。
引用の引用の引用だ。
 

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